白内障手術後の「眼内レンズ入れ替え」はできる?
- 2026年10月8日
- 白内障
こんにちは。
診察をしておりますと、白内障手術を受けられた方や、これから手術をご検討中の方から、このようなご質問をいただくことがよくあります。
「白内障手術を受けたけれど、なんだか見え方に違和感がある…」 「一度入れた眼内レンズを、別のレンズに入れ替える(交換する)ことはできるの?」
結論からお伝えすると、一度挿入した眼内レンズを入れ替えること自体は技術的に可能です。
院長は眼内レンズ入れ替え用の器具などを開発しており、入れ替え手術を多数行っております。
ただし、レンズの入れ替え手術は「どのような理由で交換したいか」によって、公的健康保険が適用できる場合(保険診療)と、全額自己負担となる場合(自由診療)に明確に分かれます。
今回は、眼内レンズの入れ替えに関する基準や費用、受ける際のリスクや注意点について分かりやすく解説します。
1. 保険診療(健康保険)でレンズ交換ができるケース
医師が医学的な観点から「症状改善や治療のためにレンズ交換が必要である」と判断した場合、公的健康保険が適用されます。
① 強い不快症状や見え方の障害(身体症状)が出ている
単焦点レンズ・多焦点レンズを問わず、手術後に以下のような強い不快症状が続き、日常生活に著しい支障が出ている場合です。
院長の執筆のこの論文の患者様も、もともと近視であったのを遠方ピントをすすめられそのようにレンズを挿入、術後激しいめまい症状が出現しましたケースがあります。
(論文については改めてブログでご紹介いたします)
- めまい・浮遊感・吐き気などの身体症状
- 抑うつ症状などの精神症状
② 予想外の「屈折ズレ(度数誤差)」が生じた
事前に精密な検査を行って度数を決定しますが、個人の目の構造や治癒過程により、予想外の度数のズレ(近視・遠視・乱視)が生じることがあります。
視能矯正や生活上の支障が大きく、医師が治療上必要と判断した場合は保険適用となります。
③ 予測できない術後トラブル(合併症)が生じた
術後にレンズの位置がズレてしまった(偏位)、外れてしまった(亜脱臼・脱臼)、目の中に落ちてしまった(硝子体内落下)、あるいは眼内炎などのトラブルが生じた場合です。
※選定療養や自由診療(自費)で挿入した多焦点レンズであっても、このような予測不能な合併症に対する治療・レンズ入れ替えは保険診療の対象となります。
2. 保険適用外(全額自己負担・自由診療)となるケース
医学的な不具合や疾病の治療ではなく、患者様個人の好みやご希望のみによるレンズ交換は、全額自己負担(自由診療)となります。
① 個人的な好みや希望によるピント位置の変更
「単焦点レンズで近くにピントを合わせたけれど、やっぱり遠くが見えるように変えたい」「もう少し見え方を変えてみたい」など、
病気や著しい不快症状の治療目的ではない変更は、術後からの期間に関わらず保険適用外となります。
② 選定療養・自由診療で入れた多焦点レンズの自己都合交換
多焦点レンズを挿入した後、「自分の好みの見え方と合わないから単焦点レンズに戻したい」といった理由で交換する場合です。
選定療養制度では、あらかじめ「自己都合や治療目的でない再手術は保険適用外となる」旨の事前同意を得て行われることになっています。
また自由診療で治療したものは、原則自由診療での治療となります。
3. レンズ入れ替え手術のリスクと「受ける時期」の注意点
レンズの入れ替えを検討される場合、事前に知っておいていただきたい大切なポイントがあります。
早期(概ね3ヶ月以内)の判断が重要です
白内障手術から時間が経過すると、眼内レンズと目の中の組織(水晶体嚢:すいしょうたいのう)が次第にくっついて(癒着して)いきます。
癒着が固くなってから無理にレンズを取り出そうとすると、目を傷つけたり合併症のリスクが高まったりします。
無理な場合は取り出しを中止しなければなりません。
そのため、入れ替えを行う場合は、癒着が少ない術後早期(概ね3ヶ月以内)に治療方針を決定することが非常に推奨されます。
2回目の手術による目への負担
レンズの入れ替えは目にとって「2回目の手術」となります。1回目の手術に比べて目への負担がかかるため、慎重な適応判断が必要です。
術後の炎症が強く出ることもあります。2回目の手術の眼内レンズ度数決定は、屈折誤差が大きくなることもあります。
1回目の手術より、不正確になると思ってください。
4. レンズを取り出さない「その他の選択肢」
目へのリスクを避けるため、現在入っているレンズをそのまま残し、見え方を改善する別の手法を選択することもできます。
これは度数調整のみになります。
- アドオンレンズ(Add-on Lens)の追加挿入
既存の眼内レンズの上に、薄い別の矯正用レンズを1枚重ねて挿入する方法です。
元のレンズを取り出さないため目への負担が少なく、万が一の場合は取り外しも可能です。 - 角膜屈折矯正手術(レーシック等) ほんのわずかな度数ズレや乱視が原因である場合は、角膜の表面をレーザーで整えることで見え方を調整できる場合があります(自由診療になります。当院では行っておりませんので紹介させていただきます。)
まとめ:見え方でお悩みの方は我慢せず早めにご相談ください
白内障手術後の見え方には適応期間(目が慣れるまでの時間)も必要ですが、「光が眩しすぎて生活できない」「視界が霞んで困っている」「見え方が深いで身体症状がでて困っている」なおといった明確な不快症状がある場合は、我慢せずに早めにご相談いただくことが大切です。
当院では、お困りの症状や目の状態を精密に検査した上で、保険診療で治療可能かどうかも含めて最適な解決策をご提案しております。
白内障手術後の見え方でお悩みの方は、どうぞお気軽にご受診ください。
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【監修】
神戸市東灘区御影中町1丁目6−9ウエダビル2,3階
森井眼科クリニック
院長 森井香織
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