球面収差を活用した単焦点レンズについてご質問いただきました
こんにちは。
今日は、前回ブログで報告させていただいた「球面収差を活用した単焦点レンズ」の追記です。
患者様にこのレンズについて説明したあと、患者様からこのような質問をいただきました。
「このレンズについて調べてみると、遠くから中間がみえるとなっている。先生は中間から手元がみえるよ、と言ってらしたけど、情報が違うように思います」
私の説明が分かりにくかったのだと思いますので、この場をお借りして説明させていただきます。
(当院採用のこの「球面収差を活用した単焦点レンズ」の一覧はこちらになります)
眼内レンズの度数の決定方法
単焦点眼内レンズの度数の決定は、眼球の計測結果(角膜の曲率半径や眼軸長、他の数値データ)を様々な眼内レンズ度数計算式に代入して計算します。
その際、「遠くにピントをあわせたい」方は術後の眼球全体の目標屈折度数を±0D(ディオプトリ)になるように計算します。「中間」であれば−1〜2D、手元であれば−3Dとして計算します。この数値は希望の焦点の距離になるように計算する際の数値になります。
眼内レンズ度数計算式は多数あり、当院では9個の計算式で計算して、その結果を比較検討して、最終的に眼内レンズの度数を決定しています。
球面収差を活用した単焦点眼内レンズの見え方について
球面収差を活用した単焦点レンズの度数決定も、前述の方法と同じになります。
遠くが見えたい方は±0D、中間なら−1〜2D、手元なら−3Dを目標として計算します。
球面収差を活用した単焦点レンズは、レンズ中央に約+1Dくらいの球面収差が加入されています。
その結果、遠く±0Dに合わせた場合、眼内レンズ挿入した眼の度数は0Dだけれども、−1Dの距離まで焦点がある、と言う事になります。下の図のような感じです。
この方法で、中間から手元(30cm)がみたいなあ、という方には、目標屈折を−2Dにして計算します。
すると、−2Dから−3Dまで焦点ができます。
その結果、下の図のように、1mくらいから30cmくらいまでみえる、ということになります。
いかがでしょうか???
実際はもっと患者様とお話して、希望の見え方、距離を確認します。
眼内レンズもそれぞれ特性が違いますので、眼球計測結果とご希望をうまくマッチングさせていきます。
眼内レンズは既製品にはなりますし、計算式も万能ではないので、100%ご希望を叶えることはできないかもしれませんが、しっかり良い結果になるようにしたいと思います。
今回も、患者様からのご意見で、わかりやすく説明するにはどうしたらよいか考えました。
患者様のご意見はとても貴重でありがたいです。
なんでもわからないことがあればご質問ください。
:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-+:-+:-+:-+:-+:+:+:+:+:+:+
【監修】
神戸市東灘区御影中町1丁目6−9ウエダビル2,3階
森井眼科クリニック
院長 森井香織
→院長の紹介はこちら🐸!
:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-+:-+:-+:-+:-+:+:+:+:+:+:+: