JSCRS学会報告その5 多焦点眼内レンズとenhanced monofocal眼内レンズのMIX & MATCH
こんにちは!
今回のお話は、JSCRS学会でお話があった、
多焦点眼内レンズとenhanced monofocal 眼内レンズのMIX&matchという方法についてのお話です。
多焦点眼内レンズ 世界の挿入件数
世界的な多焦点レンズの挿入件数ですが、現在は多焦点眼内レンズの40%が3焦点眼内レンズ、40%がenhanced monofocal 眼内レンズ、と言われています。
多焦点眼内レンズは、焦点を得るため光を複数に分けます。
その結果、コントラスト感度の低下(画質の低下)や、グレア、ハローなどの不快症状が発生します。
そのため、回折レンズではない、ベースが単焦点眼内レンズで、それに球面収差を負荷したenhanced monofocal 眼内レンズが増えてきています。これは遠方に、中間70cmくらいまで見えるピントを加入したレンズになります。
しかし、手元にピントがないため、手元は眼鏡を使用する必要があります。
ただ、enhanced monofocal 眼内レンズは、ベースが単焦点レンズなので、
多焦点レンズで発生する「グレア・ハロー」などの不快症状は発生しません。
不快症状にこまる方も多く、ここ数年でこのレンズが登場、多焦点眼内レンズの40%の挿入件数にまで増加しました。皆さんやはり「グレア・ハロー」が不快だったんですね。
Mix & match法
そのenhanced momofocal 眼内レンズと、3焦点眼内レンズをうまく利用した、
新しい挿入方法が試されています。
優位眼(効き目)にenhanced monofocal 眼内レンズを、
非優位眼(効き目ではない目)に3焦点眼内レンズを挿入する、という方法です。
この方法は「Mix & match」と呼ばれています。
以前から、
「モノビジョン法」(優位眼に遠方ピントの単焦点眼内レンズ、非優位眼に手元ピントの単焦点眼内レンズを挿入)や、
「ハイブリッドモノビジョン」優位眼に遠方ピントの単焦点眼内レンズ、非優位眼に多焦点眼内レンズを挿入)
など様々な挿入方法があります(今もご希望の方にはおこなっています)。
それらの進化バージョンともいえるでしょう。
優位眼にenhanced monofocal眼内レンズを挿入することで、グレア・ハローなどの不快症状を感じずに、
非優位眼の3焦点眼内レンズで手元の見え方を確保する、ということになります。
長時間の読書などは眼鏡が必要になるかもしれませんが、
普段の生活では、不快症状が少なく、手元も見える良い方法かなと思います。
JCRSの最新論文
ASCRS学会( American Society of Cataract and Refractive Surgery)の雑誌である
JCRS(Journal of Cataract and Refractive Surgery)の雑誌の記事に、この挿入方法の記事が掲載されていました。
(私はASCRSの会員なので毎月届くので読んでます。)
報告もよい結果でした。
今後、白内障手術を受けられる方の、選択肢の一つになりうると思います。
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【監修】
神戸市東灘区御影中町1丁目6−9ウエダビル2,3階
森井眼科クリニック
院長 森井香織
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