多焦点レンズ Intensityについて
こんにちは!
「多焦点眼内レンズ」には、様々な種類があります。今回ご紹介するのは、最近注目されている「Intensity(インテンシティー)」レンズです。
このレンズは、一見「5焦点レンズ」と紹介されることもありますが、実はどのような特徴を持ったレンズなのか、患者さん向けに分かりやすく解説します。
Intensityレンズってどんなレンズ?
Intensityレンズは、遠くから近くまで眼鏡なしで見えることを目指す「多焦点眼内レンズ」の一つです。このレンズは、+1.5Dと+3.0Dの加入度数を持つ、非球面多焦点回折型のレンズです。
「5焦点」の謎を解き明かす!
Intensityレンズは、資料上では5つ(または6つ)のピークがあるように見え、これが「5焦点」と称される理由の一つとされています。しかし、実際にはこれらの中にはMTF(光学性能を示す指標)の「サイドローブ」と呼ばれる、私たちの目には見えない光のピークも含まれています。そのため、本質的には「3焦点IOL(眼内レンズ)」に分類されるレンズです。
Intensityの回折構造
このレンズの最大の特徴は、「矩形回折(くけいかいせつ)(溝形)」という回折構造を取り入れていることです。
他の多焦点眼内レンズは「鋸歯状波 ((ノコギリ型)」になります。
この矩形回折によって、レンズのどの部分(ゾーン)を使うかによって、光の配分を細かくコントロールできるようになりました。溝の高さで回折光の配分を調整する、というイメージです。
瞳の大きさで「見え方」が変わる
Intensityレンズは、私たちの瞳の大きさ(明るさによって変わる瞳孔の開き具合)に合わせて光の配分を最適化する設計になっています。
- 明るい場所(瞳孔が小さい時):
- レンズの中心部分の回折光を主に使うため、近方が見えやすくなるように光が多く配分されます(近方 > 遠方 > 中間)。遠方も見えますが、特に手元を見ることが得意です。
- 瞳孔径3mmでのシミュレーションでは、Intensityレンズは近方視において他の3焦点レンズよりも優れていますが、遠方視はやや劣る傾向が示されています。
- 暗い場所(瞳孔が大きい時):
- レンズ全体から光を取り込むため、遠方が見えやすくなるように光が多く配分されます(遠方 > 近方 > 中間)。しかし、近方や中間距離への光の配分も十分に維持されるため、暗い場所でも遠くだけでなく、比較的近くも見えやすいのが特徴です。
- 瞳孔径4.5mmでのシミュレーションでは、瞳孔径が大きくなると遠方が優位になりますが、近方の回折光も維持されるため、近くも見やすいことが示されています。
この特性により、他の3焦点レンズと比較しても、明るい場所での近方視力は優れており、暗い場所でも近方がある程度見えるといった点がシミュレーションで示されています。
Intensityレンズを選ぶ際のポイント
Intensityレンズは、「矩形回折を用いた3焦点IOL」であり、光の配分をゾーン別にコントロールし、瞳孔径が小さいと近方優位になる、という特徴を持っています。
この設計は他の回折モデルにない設計、新しいコンセプトです。
夜は瞳孔径が大きいので、中間と近方の効率は低いため、グレアー・ハローを抑えることができると思います。
眼内レンズを選ぶ際には、それぞれのレンズの構造や特性を理解し、ご自身のライフスタイルや「どんな見え方を最も重視するか」に合わせて、担当の医師とよく相談することが非常に重要です。
一般的に、コントラスト感度(物の見え方の鮮明さ)は単焦点レンズが最も優れています。多焦点レンズは便利な一方で、単焦点レンズと比較してコントラスト感度が若干劣ります。様々なレンズがありますので、ご希望をしっかり伝えた上で、自分にあったレンズをしっかり主治医と一緒に選択しましょう。
+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-+:-+:-+:-+:-+:+:+:+:+:+:+
【監修】
神戸市東灘区御影中町1丁目6−9ウエダビル2,3階
森井眼科クリニック
院長 森井香織
→院長の紹介はこちら🐸!
:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-+:-+:-+:-+:-+:+:+:+:+:+:+: