3焦点眼内レンズ HOYA Gemetricシリーズ
こんにちは。
本日は日本の眼内レンズメーカーのHOYA社から発売された、vinex Gemetric/Vivinex Gemetric Plus 眼内レンズのお話しです。
3焦点眼内レンズ Vivinex Gemetric/Vivinex Gemetric Plus とは?
Vivinex Gemetricシリーズは、白内障手術で眼に入れる、人工の眼内レンズです。
このレンズは遠く、中間、近くの3つの距離にピントが合うように設計された、3焦点の眼内レンズです。
これにより、眼鏡なしで様々な距離が見えやすくなることが期待されます。
レンズの特徴
- 幅広い距離に対応: 遠方だけでなく、日常生活でよく使う中間距離(約76cm)や近距離(約38cm)にも焦点が合うよう設計されています。特に、遠くの見え方を犠牲にすることなく、中間距離と近くの見え方を確保することを目指しています。
- 安心の素材: レンズの素材には、長期的な安定性に実績のある「Vivinex素材」が使用されています。この素材は、レンズの濁り(グリスニング)や、手術後に再び視力が低下する原因となる後発白内障(PCO)の抑制に期待が持てます。
- 乱視への対応: 乱視をお持ちの患者様のために、5種類の乱視用モデル(トーリックモデル)もご用意しており、軽度な乱視にも対応可能です。
- 快適な見え方への配慮: レンズの光学部の中心3.2mmの範囲に回折構造が施されています。その周囲の領域は遠方単焦点レンズです。
この結果、瞳孔の開く夜間の光のまぶしさやにじみ(不快光視現象)の低減が期待できるデザインです。
- 日本製: 眼内レンズ本体とインジェクターは、日本のHOYA社が製造しています。
患者様に合わせた選択肢:「Gemetric」と「Gemetric Plus」、そして「ペアリング」
Vivinex Gemetricシリーズには、「Vivinex Gemetric」と「Vivinex Gemetric Plus」の2つのタイプがあります。
これらのレンズは、同じ加入度数(+1.75Dと+3.50D)を持ちながらも、遠くや近くへの光の配分が異なります。
Vivinex Gemetric:遠く~中間距離に光の配分を大きく、手元には少なめ。
Vivinex Gemetric Plus:遠くと手元に光の配分を大きく、中間すくなめ。
従来の3焦点眼内レンズは、遠方と手元に光の配分を大きくしていたので、中間を重視した光の配分は目新しいです。
どうしても3焦点眼内レンズは、遠方視でのコントラスト感度の低下がありますが、光の配分を遠方に多くすることで
その改善が期待されます。
これにより、患者様の生活スタイルや見たい距離の優先度に合わせて、以下のような選択が可能です。
- 両眼Gemetric: 両方の眼にVivinex Gemetricを挿入する方法です。
両眼Gemetric群は、特に中間距離(2m, 1m, 67cm)で良好な見え方が期待できるとされています。 - 両眼GemetricPlus: 両方の眼にVivinex Gemetric Plusを挿入する方法です。
手元重視の方はこちらの方がよいでしょう。 - ペアリング: 左右の眼にVivinex GemetricとVivinex Gemetric Plusをそれぞれ挿入する方法です。
この組み合わせによって、特に近距離(40cm)での見え方がさらに向上することが報告されています。 - いずれの選択肢でも、手術後6か月時点の裸眼視力において、遠くから近くまで、いずれの群も視力0.8より良好な見え方が期待されます。
特に遠方においては、Gemetric群とペアリング群ともに視力1.0より良好な結果も報告されています。
光の配分にこだわった、新しいコンセプトの3焦点眼内レンズです。
日本メーカーでこだわって開発をしているHOYA社です。
以前シンガポールにある眼内レンズ研究所・工場に見学に行ったこともあり、
応援したいレンズです。
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【監修】
神戸市東灘区御影中町1丁目6−9ウエダビル2,3階
森井眼科クリニック
院長 森井香織
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