3焦点眼内レンズ Finevision HPについて|医療法人 森井眼科クリニック|神戸市東灘区御影駅前

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    3焦点眼内レンズ Finevision HPについて|医療法人 森井眼科クリニック|神戸市東灘区御影駅前

    3焦点眼内レンズ Finevision HPについて

    こんにちは。

    本日は当院で取り扱っている、ベルギーのPhysIOL社が開発した3焦点眼内レンズのFINEVISION HPについて解説いたします。

     3焦点眼内レンズ FINEVISION HP 

    FINEVISION HPは、遠方、中間、近方の3つの距離にピントが合うように設計された「三焦点(トリフォーカル)眼内レンズ」と呼ばれるタイプです。
    これにより、手術後に眼鏡に頼る必要を減らし、より自然な見え方を目指すことができます。
    Far:遠方、Intermediate:中間、Near:近方 の頭文字をくっつけて名づけられました。

     

    FINEVISION HPの主な特徴

    FineVision®は、その名前が示す通り「Far(遠く)」「Intermediate(中間)」「Near(近く)」の頭文字をとって名付けられています。遠方、中間(+1.75D)、近方(+3.5D)の3つの距離で鮮明な視界を提供するように設計された眼内レンズです。中間距離の視認距離は約60cm、近方距離は約40cmです。

    このレンズは、非常に革新的な技術が詰まっています。

    • 世界初の三焦点回折レンズ:2010年にPhysIOL社が世界で初めて発表した三焦点回折レンズです。同年にはCEマークも取得しています。
    • 「光のロス」を極限まで低減する光学設計
      • 多焦点レンズでは、光を複数の焦点に分配するため、光の利用効率が下がり「光のロス」が発生することが課題でした。
      • FineVision®は、異なる2つの二焦点回折眼内レンズのデザインを組み合わせることで、光のロスを抑えるように設計されています。具体的には、0次光と+1.75Dの1次回折光のデザイン、そして+3.5Dの1次回折光のデザインの二つを組み合わせています。この際、+1.75Dのデザインから発生する+3.5Dの2次回折光はロスにならず、+3.5Dの1次回折光と重なり近方視に利用されます。
      • これにより、光のロスがわずか14%に抑えられ86%以上の光を有効利用できるため、明るく自然な見え方が期待できます。
    • 独自の「アポダイゼーション(Apodization)」技術
      • レンズの中心から周辺に向かって、回折溝の高さが徐々に低くなる設計です。
      • これにより、瞳孔の大きさに合わせて遠方への光の配分が最適化され、特に暗い場所でのハロー(光の輪)やグレア(まぶしさ)といった不快な光学的現象を軽減する効果が期待できます。瞳孔径が大きくなると、より遠方に光が集まるように設計されています。
    • 独自の「コンボリューション(Convolution)」技術
      • 回折溝のエッジで発生する光の散乱を抑える設計が施されています。
      • これもまた、ハローやグレアの発生をさらに抑制することに貢献するとされています。この「コンボリューション」と「アポダイゼーション」の両技術を光学面全体に組み合わせたレンズは、FineVision®が最初で唯一です。
    • フルディフラクティブ設計:光学面全面に回折構造が設計されています。

     

    FineVision®(ファインビジョン)のメリット

    FineVision®を挿入することで、患者さんには以下のようなメリットが期待できます。

    • 圧倒的な眼鏡依存度の低減:遠方、中間、近方の3つの距離に自然にピントが合うため、日常生活のほとんどの場面で眼鏡が不要になることが期待できます。特に、二焦点レンズでは眼鏡が必要になりがちだったパソコン作業や読書、音楽演奏といった中間・近方作業にも対応できるため、「眼鏡なしの自由な生活」を強く望む方に適しています。三焦点眼内レンズの挿入後は、高い患者満足度と高い眼鏡非依存性が報告されています。
    • 優れた視覚の質:光のロスが少なく、独自の技術(アポダイゼーション、コンボリューション)によってハローやグレアが軽減されるため、より自然でクリアな視界が得られます。PSF(Point Spread Function)データでも、FineVisionテクノロジーとEDOF(拡張焦点深度)眼内レンズで同様のハロー強度を示すとされています。
    • スムーズな見え方:遠方から近方まで、焦点の途切れが少なく、スムーズな視界の移行が期待できます。

    FineVision®(ファインビジョン)のデメリット

    • 光学的現象の可能性:アポダイゼーションやコンボリューションといった技術により、ハローやグレアといった光学的現象は軽減されるものの、完全にゼロになるわけではありません。特に夜間の車のヘッドライトなど、特定の条件下で見える場合がありますが、時間とともに慣れて気にならなくなる方も多くいらっしゃいます。
    • 慣れが必要な場合がある:新しい見え方に脳が順応するまで、ある程度の慣れが必要な場合があります。
      • この点は、多焦点眼内レンズ全般に言えることですが、脳が新しい見え方に適応する期間が必要となる場合があります。
    • 適応の制限:全ての方が多焦点眼内レンズの適応となるわけではありません。乱視の程度や眼の状態、生活習慣など、患者さん一人ひとりの状態によって最適なレンズは異なります

    まとめ

    FineVision®は、その革新的な光学設計により、遠方から近方までをカバーし、「眼鏡なしの自由な生活」を実現する強力な選択肢の一つです。特にパソコン作業などの中間距離での見え方を重視される方や、できる限り眼鏡を使いたくないと考える方に適しています。

    ご自身の目の状態やライフスタイルに最適なレンズを選ぶためには、専門医による詳細な検査と丁寧なカウンセリングが不可欠です。当クリニックでは、患者様一人ひとりに寄り添い、最適な視力回復の選択肢をご提案させていただきます。

    ご興味のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。


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    【監修】

    神戸市東灘区御影中町1丁目6−9ウエダビル2,3階
    森井眼科クリニック
    院長 森井香織
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