緑内障と睡眠時無呼吸症候群
- 2024年12月7日
- 緑内障
こんにちは!寒くなってきましたね。
今回は、臨床眼科学会で緑内障のお話しで興味深かったものをお知らせいたします。
緑内障は睡眠時無呼吸症候群で悪化するらしい?
緑内障と睡眠時無呼吸症候群は、それぞれ異なる病気ですが、関連性が指摘されているようです。
特に閉塞性睡眠時無呼吸症候群が緑内障のリスクを高める可能性があるそうです。
どうしてでしょう???
緑内障とは
緑内障は、視神経が損傷し、視野が徐々に狭くなる病気です。
原因として、眼圧の上昇が主な要因とされていますが、日本人には正常眼圧でも発症する「正常眼圧緑内障」の方が多く、
眼圧だけでは判定できないことがあります。
- 主な症状: 初期段階では自覚症状が少なく、進行すると視野欠損が現れる。
- 原因: 眼圧の上昇、視神経の血流障害、遺伝(親が緑内障)などとされています。
- 治療: 眼圧を下げるのがエビデンスのある治療で、基本は点眼薬で治療、点眼薬だけで進行を止められない場合は手術などをおこないます。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
SASは、睡眠中に呼吸が繰り返し停止または減少する疾患です。
酸素供給の不足により、全身の健康に影響を及ぼします。
- 主な症状: いびき、日中の過度な眠気、集中力の低下・・・酸素不足で脳みそが弱ってるって感じでしょうか。
- 原因: 気道の閉塞(閉塞性)が主な原因です。太っている方が多そうなイメージですが、構造の問題なので、やせている方でもなります。
- 治療: CPAP(持続陽圧呼吸療法)、生活習慣の改善、改善のない場合外科的治療もおこなわれます。
緑内障と睡眠時無呼吸症候群の関係とは?
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低酸素状態
SASでは、睡眠中に酸素濃度が低下します。
この低酸素状態が視神経の血流に悪影響を与え、緑内障の進行を促す可能性があるそうです。
神経に十分酸素が行かない→視神経にダメージが加わる、ということです。 -
眼圧変動
一般に夜間就寝時は眼圧は上昇することが報告されています。
SAS患者では、さらに夜間の眼圧が上昇する傾向が報告されています。
特に仰向けの姿勢が眼圧上昇を引き起こすそうです。
眼圧の上昇は緑内障の進行につながります。 -
全身血流の影響
SASにより全身の血流が悪化し、視神経への血液供給が不足する可能性があるそうです。 -
疫学データ
SAS患者は緑内障の発症リスクが高いとの研究結果があります。
特に正常眼圧緑内障との関連が注目されています。
多分、日中クリニックで測定した際は正常でも、夜間眼圧が高くなって、緑内障を発症する、のではないでしょうか。
睡眠時無呼吸症候群のチェックも必要かも!
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緑内障患者のSASスクリーニング
緑内障の診断を受けた患者で、SASのリスクが高い場合(肥満、いびきなど)は専門医に一度かかったほうがいいようです。 -
SAS患者の眼科チェック
SASが診断された場合も、定期的な眼科受診で眼圧や視神経の状態を確認することが重要です! -
生活習慣の改善
両疾患に共通して、適切な体重管理、禁煙、ストレス管理が推奨されます。
緑内障とSASの因果関係やメカニズムについては、まだ完全には解明されていませんが
さらに研究が進むことで、より効果的な予防や治療法が見つかる可能性があります。
気になる症状がある場合は、早めに眼科医や睡眠医療の専門医に相談することをお勧めします。
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【監修】
神戸市東灘区御影中町1丁目6−9ウエダビル2,3階
森井眼科クリニック
院長 森井香織
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