焦点深度拡張型レンズ Vivinex Impress
こんにちは。
本日は、日本の眼内レンズメーカーのHOYA社の「Vivinex Impress(XY1-EM)」 についてのお話です。
従来の単焦点レンズのように遠くを鮮明に見せつつ、中間距離の視力も向上させた エンハンスト単焦点レンズ(enhanced monofocal IOL)です。
今回は、その光学設計や焦点深度、実際の見え方の特徴についてご紹介します。
HOYA Vivinex Impress(XY1-EM)
独自の光学設計
Vivinex Impress の特徴は、中央光学部(直径約2mm)にわずかな度数変化を持たせた非球面アシンメトリック設計にあります。
この構造により、遠方での焦点を保ちながら、中間距離にもピントを合わせやすくなっています。
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レンズ形状:両凸(biconvex)
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エッジ形状:スクウェアかつ微細なテクスチャー加工で光の迷入を抑制
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材質:疎水性アクリル、UV・青色光カット機能あり
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非球面補正:角膜の球面収差を適度に補正し、コントラスト感度を維持
焦点深度の拡張
臨床試験データでは、従来型単焦点IOLと比較して以下のような結果が示されています。
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遠方視力(4m):差はなく、両者ともに logMAR 0.0(1.0相当)
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中間視力(66cm、約−1.5D):Vivinex Impress は従来単焦点より 約1行(0.1 logMAR)向上
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近方視力(40cm):従来単焦点よりやや良好で、新聞の文字が読める例も多い
デフォーカスカーブでは、約1.25Dの範囲で視力が安定しており、遠くから中間距離までスムーズに見えることが分かります。
実際の見え方と患者満足度
複数の臨床研究で、次のような結果が報告されています。
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遠距離視力に妥協が少なく、中間距離視の改善が明瞭な点が特徴です CRST Globaleyeworld.org。
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特に「新聞を読む」「日常生活への順応の速さ」といった点で、他の強化単焦点(例:Tecnis Eyhance)と比較して 高い主観的満足度を示したとの報告があります eyeworld.org+2
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ハローやグレアなどの視
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未矯正視力(両眼)
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遠方(UDVA):0.2 logMAR(約0.63)
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中間(UIVA):0.0 logMAR(1.0)
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近方(UNVA):0.2 logMAR(約0.63)
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矯正視力(両眼)
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遠方(CDVA):0.0 logMAR(1.0)
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中間(DCIVA):0.1 logMAR(約0.8)
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近方(DCNVA):0.3 logMAR(約0.5)
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さらに、患者の約33.4%が新聞を裸眼で読めたとの報告がありますが、このレンズも他の焦点拡張型眼内レンズと同様、手元は眼鏡が必要になることが多いですが、
日常のお買い物程度であれば不自由ないことがおおいです。
日常生活では「テレビの字幕が見やすい」「パソコン作業や料理などの中間距離が快適」といった意見が多いです。
光の見え方(ハロー・グレア)
Vivinex Impress は回折構造を持たない、単焦点眼内レンズがベースのため、ハローやグレアの発生はほとんど報告されていません。
夜間運転や暗所での見え方に不安がある方にも適しています。
まとめ
特徴 | 内容 |
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遠方視力 | 従来単焦点と同等に鮮明 |
中間視力 | 約1行分の改善で、パソコン・会話距離が快適 |
近方視力 | 新聞などの小さな文字も裸眼で読めるケースあり |
焦点深度 | 約1.25Dの範囲で視力が安定 |
光の違和感 | ハロー・グレアが少ない |
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【監修】
神戸市東灘区御影中町1丁目6−9ウエダビル2,3階
森井眼科クリニック
院長 森井香織
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