患者様より「多焦点眼内レンズが一番いいんですよね?」
- 2024年8月1日
- 白内障
こんにちは!
毎日暑いですね。天気予報の最高気温の予報を見るのがとても恐ろしい毎日です・・・。
そんな中で、本日は皆様からよくお受けする質問についてお答えしたいと思います。
「多焦点眼内レンズが一番いいんですよね?」
これはよく患者様が質問される内容です。
多焦点眼内レンズは、全部メガネなしで見えて、若いころに戻ったような感じで、しかも高額だし、
一番いいんですよね!と思われる方も多いと思います。
実際そうなのか、多焦点眼内レンズについて説明したいと思います。
多焦点眼内レンズ「全部メガネなしでみえるんですよね?」
多焦点眼内レンズは、10年ほど前は焦点が2つのタイプが主流でしたが、
最近は回折タイプの3焦点眼内レンズが一般的になりました。
眼内レンズの前または後面に「回折構造」を作成、
その部分で光を遠方、中間、手元の3つに分け、3つの焦点を作成します。
以前の2焦点とは異なり、中間にも焦点があるため、遠方から手元まで自然な感じで
見えるようになっています。
「全部メガネなしでみえる」は、ある程度は正しいと思います。
ある程度とは・・・・?
近くの距離が「40㎝」の3焦点眼内レンズを挿入した場合、
40㎝より近くはぼやけます。
日本人は小柄で、腕の長さも短いので、本を読んだりスマホを見たり
する距離が結構近い方も多いです。また、もともと近眼の方は、近づけてみる癖があり
そういう方は「近くがみえないんですけど・・・」となってしまいます。
近くの距離が30cmの3焦点眼内レンズを選ぶ、
あるいは、近くの作業時に眼鏡をかける、などの対策が必要になります。
ですので、単に多焦点レンズ、ではなく、手元の作業距離がどの程度なのかなど
実際の生活のお話を術前にしっかりお伺いし、レンズの種類を決めることが
とても大切になります。
暗い環境では手元は見えにくいです!
3焦点眼内レンズは、大体眼鏡なしでみえるのですが
これには「明るい場所で」という条件が必要です。
3焦点眼内レンズは、回折構造で光を3つに分けるため、
それぞれの光の量(情報量)は3分の一になります。
明るい場所では光量が多いため見えるのですが
暗い条件になると、特に手元はとてもみえにくくなります。
例えば、ベッドサイドのライトだけでは読書も難しいです。
以前多焦点眼内レンズを挿入した患者さんが
「高級レストランって、薄暗いでしょう。そういうところで食事をしたら
お料理があまりおいしそうに見えなくなってて、びっくりしちゃた。」
とおっしゃって、なるほどそういうこともあるのだな、と思いました。
多焦点眼内レンズに必ずある「グレア・ハロー」
回折型多焦点レンズは、光を分けて焦点を作成しますが
別れ切らない、焦点にならないロスの光が発生します。
その光が、暗いところで強い光を見ると「グレア、ハロー」という
光の周りにわっかやぼやけがみえる症状を発生させます。
これは回折構造である限り必発です。メガネでは矯正できません。
夜間運転をよくされる方で、これが気になるために、
単焦点眼内レンズに入れ替え手術をされた方もいらっしゃるくらい、不快なようです。
多焦点眼内レンズが一番よいか?
多焦点眼内レンズが一番いいか?
それは患者様のライフスタイルとご希望に合えば一番よいレンズだといえます。
単焦点眼内レンズは100%の光を利用するため、画質はばっちりですし、
グレアハローなどの不快症状もありません。メガネは必要ですが・・・。
多焦点眼内レンズの不快症状を解消すべく、また単焦点眼内レンズより焦点幅を拡張するために
「enhanced monofocal眼内レンズ」も開発、使用されています。
ライフスタイルは人それぞれなので、
白内障手術前に主治医の先生としっかりお話をしたうえで
また、目の検査もしっかりして、
一番合った眼内レンズを選択するのが一番!だと思います。
HPの白内障手術のページも参考になさって下さいね!
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【監修】
神戸市東灘区御影中町1丁目6−9ウエダビル2,3階
森井眼科クリニック
院長 森井香織
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