MIGSとは
MIGSとは低侵襲緑内障手術(MIGS:microinvasivegulaucomasurgery)という眼への負担の少ない緑内障手術のことです。
現時点で、当院で施行しているMIGSの手術は以下の2つです。
- iStent inject W
- フックロトミー
いずれも線維柱帯の抵抗を下げることによって、眼圧の下降を図ります。
線維柱帯とは、目の中の排水溝のような所です。眼の中で作成緑内障の方は、線維柱帯の抵抗が大きくなり、目の中の水の排出が悪くなるため眼圧が上がりやすくなります。例えば、洗面所やお風呂場の排水溝に髪の毛やゴミが詰まっていると、排水の流れが悪くなるのと同じようなことです。排水溝をお掃除してあげたら、再び排水がスムーズになります。そのようなイメージです。
短時間で済みますしローリスクで施行出来ます。勿論、日帰りで全く問題ありません。ただし、これらの手術が登場したから、従来の手術は必要ないわけではありません。現時点のMIGSはあくまでも、ローリスクですが、ローからミドルリターンの手術です。かなり視野障害が進行した方や、一回の手術で大きく眼圧を下げなければならない患者様には、ハイリターンを期待できる線維柱帯切除術という手術が必要となります。あくまでも早期~中期の緑内障の方に適応となる手術です。
とは言え、緑内障治療に新たな選択肢が出来たことは素晴らしい事だと思います。緑内障の点眼加療は、いわば人生の最後まで点眼を続けることを意味します。元気なうちは良いですが、ひょっとしたら足腰が不自由になって眼科に通院できなくなったり、認知症を発症し、正しく目薬をさせなくなってしまう可能性も当然あります。
緑内障の方が早期にこれらの手術を施行することによって、必要な緑内障点眼薬の種類が少なくなったり、眼圧が下がって、点眼薬をささなくても十分に視野を守れる眼圧になる可能性もあります。